朱き実のヒペリカムの束さつくりと
グラスに活ける猛暑の午後に
E.K
昼寝より覚めれば面会の姉のゐて
眠り姫かとあきれて言へり
Y.I
歴史ある風っこの会の慰問あり
わが加入せし頃懐かしき
T.T
短冊に心を込めて願い書く
叶うといいな毎月の外出
S.I
ただでさえ気温の高いこの季節
蝉の鳴き音に暑さ倍増
K.H
この年も焼き物教室に参加して
つくる楊枝入れ仕上がり楽しみ
M.S
久々にみどり児抱けばしみじみと
五十年前母となりし日
A.S
毎月の短歌会の綴り幾冊か
短歌教室に学ぶ十五年
A.S
ベビーカー押す娘の姿遠ざかる
改札口の別れいくたび
E.K
別れし後スマホに時をやり過ごす
下りの発車待つ東京駅
E.K
かき氷色とりどりに盛られたり
プール帰りの吾子らの前に
Y.S
打ち寄する波に濡れたるテトラポッド
夕日を反し黒々と積む
T.S
夕風に窓の風鈴遊びゐて
炎暑納むる音の涼しき
S.I
灯をおとし玻璃の器に薄茶受く
古刹の庭に蛍のゆれて
S.I
一面に広がる稲穂あかみさす
猛暑続きて八月二日
T.S
暑さ除けに涼をもとめし朝顔の
棚色あせて夕風わたる
S.O
茨城や栃木群馬と冬の旅
北の雪より風なお寒し
S.O
五十年添ひたる夫の性分を
思ひてそつと切り出す頼み
H.I
立ち寄れるノラを招きて丸四年
日々の和みはこの猫にあり
H.I