介助受け「一期一会」と記したる
書き初め仕上げ春来るを待つ
E.K
月一度のわが楽しみの短歌教室
入浴急ぎ終はらせ向かふ
T.T
体調崩し参加叶はぬ新年会
部屋に届きし餅をほほばる
S.I
懐かしき曲が聞こえるクリスマス
思はずわれも口ずさみたり
K.H
年明けてわれは六十代半ば
短歌リハビリ決意新たに
M.S
ねこ年があればいいなあさる年の
明けて小猫のカレンダーめくる
Y.I
あふれ出る温泉の温み肌にしみ
効能あまた心も癒ゆる
A.S
人生は一歩一歩とのぼるもの
二十歳の孫に言ひ聞かせたり
A.S
くぎづけのテレビの前に拍手する
羽生選手の世界記録に
S.I
庭隅に咲き揃ひたる水仙の
明るき黄色暖冬の兆し
S.I
ウエディングケーキにほほ笑む二人の似顔絵あり
待ちに待ちたる子の入籍日
S.I
おずおずと雪の上歩む孫に添ふ
小さき命かくもいとしき
E.K
空港に孫を見送り帰るとき
寡黙のわれらにワイパーの音
E.K
天国に旅立つわが家のハムスター
毎朝「プリン」と呼べぬは寂し
Y.S
忘年会目の前にして寮母らが
今日は朝から準備に追はる
T.S
早番のあいさつに部屋を回りくる
若き職員の笑顔を待ちぬ
T.S
北国に陽の差す新春それだけで
ただそれだけで老いの喜び
H.I
娘夫婦くれし湯タンポと温き毛布
年の始めに幸い届く
H.I